記憶に新しい前作から一年、ニューメンバーを加えての新作3rdアルバムは、持ち味としていたRadioheadのような歌心、The Postal Service,The Album leafのような淡い心地良さはそのままに、ポップな浮遊感とシニカルな現実感、普遍性と実験性の相反する対極な要素を天性の音楽センスで見事に調合しながら、独自の個性への追求をテーマにしたようなシリアスな一面も垣間見せ、期待を大きく上回る完成度で魅せてくれる。エレクトロニカやシューゲイザー、ポストロック等の各種音楽ジャンルの多岐な方法論を因襲しながらも、他の凡百のインスタント風味なインディポップバンドと違って画一的な作風に陥らず、バラエティな作曲能力がもたらす美しいメロディの浸透圧の高さによって心にあっという間に染み込み、そのまま色を染めて綺麗に定着する。それは遠くなって薄れてしまった忘れかけた大事な記憶を思いがけず夢が再現してくれて、それから醒めたときに残る悲しくも暖かい輪郭のはっきりとした郷愁のような切なさだ。
01. Missoula
02. Wolf Eggs
03. Patron Saints
04. Headworms
05. Comfort Sounds
06. Magpie's Monologue
07. Thumbsucker
08. Hold Your Horses
09. Ghosts On The Windowsill
10. Paper Cuts
11. Everything Is Someone Else*
*ボーナストラック追加(日本盤 CDのみ)