一度聴いたら忘れられない柔らかなヴォーカル、折り重なる美しいコーラスワーク。そして幻想的な白昼夢の中の淡い記憶と、日々の日記のように綴られた歌詞を、自身が演奏するピアノ、アコースティックギター、ハープなどの楽器たちが優しく包み込む。フォーク・シンガーGregory And The Hawkの持つ素朴さや、同世代でもあるPhoebe BridgersやJulien Bakerとも共鳴するような繊細さと親しみやすさを併せ持つ。
しかし本作の持つ魅力はそれだけではない。前作アルバム『Better At Night』では、慣れ親しんだエモ/ポストロック由来のフィンガーピッキング・スタイルを生かし、バンドサウンドをメインとしたポップな作品を作ったが、あれから4年。アコースティックサウンドをベースとしつつも、前作とは一味も二味も違う、ピアノやハープを主体としたトラックが印象的な、優雅かつ洗練された作品となった。
ピアノとギターが輝くような音像を映し出す「Driving At Home」、思わず目を閉じ没入してしまうようなインストゥルメンタル曲や、軽やかな初夏の匂いがしてくるような「To Go On」。そしてラストを締めくくる「Guest Room」では切なくも安らぎにも似た感情を、しなやかに流れるようなピアノタッチで弾きながら歌うなど、音を聴くだけで脳裏に情景が浮かぶようなソングライティングにさらに磨きがかかっている。独特かつ琴線に触れるメロディは、Natalie自身がこれまでに触れてきたインディー・エモ、マスロックなサウンドスタイルと、フォーク的なサウンドが溶け合うオリジナリティ溢れるものだ。
※Small Pondリリース輸入盤LP、Dark Redカラー。国内盤と同じ内容の日本語対訳カードをお付けします。
Tracklist:
1. Driving Home Late
2.Between the Ground and Sky
3.Movie
4.Pencil Drawn
5.Interlude (Back of My Mind)
6.Colours Fade
7.Sun Song
8.Under The Moon
9.When You Leave
10.To Go On
11.Five Positives
12Guest Room